こんにちは、SenBeatsです。
今回はポップミュージックの作詞法を勉強してみて、「ラップのリリックにも使えそうなテクニック」を抽出してまとめました。
ポップミュージックの歌詞は「客観的でフィクションの要素もまじったもの」が多く、ラップは主観的で「事実や現状」「問題提起」などの要素が多いと思います。
とはいえ、ラップの歴史も長く、ジャンルも多様化し、「HIPHOPはこうでないといけない!」という固定観念もなくなってきてると思うので、ポップミュージックの作詞法をとりいれると、より深みのあるリリックが書けるのでは?と思いこの記事を作りました。
目次
作詞とは
資料読み(曲の目的やコンセプトを決める)
語彙力の話
母音検索(気持ちいい母音を探す)
ナンセンスを使う(発音快楽の極み)
まとめ
作詞とは
作詞家にとっての作詞は「音楽語の日本語吹き替え」だそうです。
音楽語とは、「文字を使わないでも意味が通じる言葉」で綴られている音楽の物語。
作曲家はこの「音楽語」という言葉を扱って心情や風景を描写する。
ミュージシャンのセッションは「音楽語による会話」とのことです。
まとめると、音楽家同士だけで語り合う音楽語という文字の存在しないやりとりを、
「誰にでも伝わる形にするための手段」
にしたものですね。
これによって、メロディの語る物語性を、音楽家以外の人もハッキリと理解することができるようです。
資料読み(曲の目的やコンセプトを決める)
歌詞を書く前にまず資料読みをやります。
資料読みとは、曲の目的やコンセプトを整理する工程です。
作る曲が
「いつ」
「どのタイミングで」
「誰に向けて」
「何を歌うものかのか」
をしっかり固める。
作詞に必要なのは「その音楽に関わる発信側と、受信側にまつわる情報」だそうで、プレイヤーとオーディエンス、両方についてを “資料読み” してから、どんな歌詞しようか考えるとよいそうです。
それをしないで引用まみれの、コピー&ペーストの歌詞を用意しても、何を伝えたいのか分からない歌詞になる、とのこと。
作詞家は資料読みに一番時間をかけているそうで、時間がかかるときは3日〜1週間程度を資料読みに使うときもあるそうです。
体験できる類のものなら実際にその場所に行ってみたり、詳しい人から話を聞いたりするそうです。
作詞は、
「誰が誰に向けて歌う歌なのか」「何をとらえればいいのか」
それを真剣に考えて、音楽語を読み解きながらそこに当てはまるベストな答えを導き出し、翻訳し、歌詞を作る。
それが作詞家がやる基本で大事なことだそうです。
語彙力
良い語彙がでてこない理由。
作詞とは「音楽語の日本語吹き替え」なので、
良い語彙がでてこないのではなく「音楽語の理解」と「音楽語の日本語翻訳能力」がない
とのことです。
例えでいうと、部族の音楽に日本語の歌詞をつけようとなると、ポイントは
“良い語彙が出てこない”ではなく、何言っているのかまず分からないのが問題。
なのでまずは音楽語を感じとる必要があるそうです。
音楽語を感じとったら最初に「キャッチコピーを考える」
悲しい失恋ソングだとしたら、
「すれ違い」「依存症」「プラトニック」「別れ」「激情」
という感じで書き出す。
そしてこのキーワードのニュアンスすべてを含むキャッチコピーを考える。
そして、その曲の一番印象的で、まさに「キャッチコピーを当てるにふさわしいところ」を決め、そこに合わせてほかの部分を決めていくそうです。
曲を1回聴いて覚えてる歌詞は、せいぜいワンフレーズがツーフレーズくらい、そしてそここそが、その曲のパワースポットになる。
必要なのは、その曲の音楽語で語られている本質を見抜き、的確なキャッチフレーズを乗せることですね。
母音検索と歌い心地
歌い心地のポイントになる部分は「共感性」と「発音快楽」あります。
「共感性」は、この歌詞わかるわーと思いながら歌ってる気持ちのとき、その曲を心地が良いと感じます。
「発音快楽」は、歌って気持ち良い母音です。
まず母音を簡単に説明すると「あいうえお」の、“声帯と口の開け方で作れる音”のことです。
「かきくけこ」や「さしすせそ」は同じ音を伸ばし続けると母音になります。
例えば「かー」と伸ばしていくと、いつのまにか「あ」に変わっているはずです。「すー」と伸ばしていくと「う」に変わります。
「あいうえお」は、日本語の50音を作る土台となっているため、「母音」と呼ばれています。
歌の中で母音を強調することで、表現力豊かな歌に変わります。
本題に戻して、「母音検索」とは、歌詞を書く工程のしたごしらえのひとつで、曲を
「あいうえお」と「ん」だけで歌うことです。
母音だけで歌って、気持ち良い母音を検索します。
母音検索をして、その曲の「発音して気持ち良いトコ」をハッキリさせます。
歌った「あいうえおん」に当てはまる言葉をなんでもいいからはめてみると何の筋も通ってなくても、漠然と歌い心地だけは良い曲が出来上がるそうです。
メロディには、気持ち良い区切りかたや、伸ばしたい母音があるので、発音快楽として気持ち良い母音をまず決めて、そこから歌詞を決めていくとよいそうです。
ナンセンス(発音快楽の極み)
母音検索でも発音快楽はでてきましたが、ナンセンスは発音快楽のもっと深みの内容です。
ナンセンスの意味は、“意味はないけど気持ち良い”です。
ブルーハーツでいえば「リンダリンダ」
きゃりーぱみゅぱみゅなら「にんじゃりばんばん」
のように、「意味はないけど発音してて気持ちいいもの」のことです。
作詞家にとってこの概念を知っているかいないかで天と地の差があるようです。
音楽語はひとつのフレーズでもすごい量の情報を含んでいることがあるので、言葉じゃ足りないときに「言葉にできない」を表現する手法だそうです。
そしてこのナンセンスはほとんどの場合、その曲の一番大事なポイントでこそ光るとのこと。
「母音検索」と「ナンセンス」を両方やれているのが、発音快楽を抑えている歌詞です。
意味のある言葉で言った方がいいシーンもあるだろうし、そうじゃなくナンセンスでやった方がいい場合もある。この選択肢のことを知っているかいないかで、書ける歌詞の可能性は飛躍的に変わるそうです。
まとめ
今回の記事をざっくりまとめると、
「作詞」とは音楽語を日本語に吹き替えること。
まず「資料読み」で誰に向けて何を歌うのかを明確にし、
「語彙」を出す為に、感じた音楽語からキーワードを抽出してキャッチコピーを作る。
そして、「母音検索」で歌って気持ちの良い母音を検索し、
歌詞を書いてみて言葉にできないときは、「ナンセンス」を使う。
そうするといい歌詞が書ける。という内容でした。
ラップとは観念が違うと思いますが、部分的にうまく利用すればオリジナルの曲を作るテクニックになると思うのでぜひ試してみてください。
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